軽金属接合法の開発

近年、地球温暖化に伴い温室効果ガス削減の観点から、輸送機器の軽量化による燃費の改善が重要になってきています。これに対し様々な軽量化材料が開発されていますが、これを工業的に広く応用するためには、その組立工程で必要になる接合法の開発が不可欠です。本研究室では、自動車などの輸送機器の量産工程で最も汎用的に使用されている抵抗スポット溶接法や、近年構造材料への応用が試みられている超音波接合法を、航空機への展開が期待され活発に研究されている、新マグネシウム合金に応用しています。さらにその接合微細組織をナノレベルで評価することにより、精密制御された組織を有する新材料に対する最適な接合法を開発しています。

HAZ 18R (左)接合熱影響部における微細組織変化
(右)熱影響部LPSO相の原子構造

マルチスケール組織解析による合金特性発現機構の解明

金属に様々な元素を加え、熱処理、加工などを施すことで、高強度化や靭性の向上など材料にいろいろな特性を持たせることができます。本研究室ではこの特性の発現原理を探り、さらなる機能改善に繋げるために、マルチスケールで材料組織を明らかにしていきます。チタン合金や、最近では電子材料、医用材料にも使われているパラジウム合金の研究を行っています。

Ti Ti合金で観察される特殊なせん断組織

薄膜微細組織とその特性の関係に関する研究

基板上にMBEなどによりエピタキシャル成長される半導体デバイスや、基板の耐熱性、耐摩耗性などを向上させるためプラズマコーティングにより積層される薄膜では、成膜条件により、薄膜中の欠陥種類、密度、さらにはその微細組織が大きく変化します。本研究室では、これらの薄膜の作成グループと共同で研究を進め、その微細組織観察結果をフィードバックし成膜条件に反映させることで、迅速に薄膜の微細組織改善、機能改善を行っていきます。また必要に応じ、より詳細に微細組織やその機能を明らかにするために、新たな電子顕微鏡法の開発も行います。

GaN BN (左)GaN膜表面凹部に観察される極性反転領域の原子像
(右)tBN膜からcBN膜への遷移領域の原子構造

ナノ結晶の構造に関する研究

ナノテクノロジーの隆盛に伴い、ナノレベルの大きさの物質の持つ特異的な性質を利用した研究が活発に行われています。この分野では、構造を直接詳細に観察できる手法として、透過型電子顕微鏡を用いた研究が広く行われています。本研究室でも早い段階からカーボンナノチューブや超微細粒子に関する研究を行ってきました。BN単原子層を基板上に垂直に配列した膜の機械的特性や、触媒作用を持つコーティングされたチタニアやジルコニア超微粒子の構造解析などの研究を行っています。

particle SiC (左)2重殻構造を有する超微粒子
(右)ナノSiC結晶の原子構造

固液反応過程の原子レベル観察法の開発と微細組織形成機構の解明

固体と液体の界面反応やぬれ性が関与した反応性ぬれの過程は、工業的な分野でははんだ付けやロウ付けなどの基礎原理であるにも関わらず、その原子レベルでの反応過程は不明でした。反応やぬれの過程は、本質的に物質同士の接触面で起こる原子同志の相互作用です。本研究室では、透過型電子顕微鏡中でセラミックス基板上の活性元素含有合金を溶融させ、その反応過程を原子レベルでその場観察する技術を確立しました。これにより固液界面における反応相生成過程、微細組織の生成過程や、ぬれ先端での反応相生成挙動が初めて明らかになりました。

   
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